自宅で療養することの素晴らしさの再認識/再評価、国の政策としての医療費削減という経済的側面、などがその理由として挙げられます。
わずか数十年前は8割を超える方々が自宅での最期を迎えていて、それが当たり前でもありました。現在に至るまでの医療政策のなかで、今では8割超える患者さんは病院での最期を迎えています。そして、今、再び、昔のように自宅で最期を過ごすことが尊厳を保つ選択である、という考えが改めて評価されています。人間の尊厳を重視し、日常の中で穏やかに最期を迎えるという価値観が見直されているのです。
その一方で、我が国の医療経済の事情から在宅医療を選択せざるを得ない、という状況も生まれつつあります。不足している病院の労力を家族の介護力にゆだねる、という国の方策にも見えなくもありません。そのように、たとえ最初は望まざる在宅医療として始めた場合であっても、結果的にはよい選択であった、と思ってもらえるような在宅医療を心がけています。